壱八家(横浜市南区弘明寺町 京浜急行線弘明寺駅そば)
2006年7月1日(土)

弘明寺観音から京急の駅に向かう、狭く急な曲がりくねった坂道。
ひなびたこの通りに突如出現したラーメン屋。
横浜ラーメン=家系(店名に家を付けて「○○や」と読ませる店が多いので「家系=いえけい」と呼ばれる)という
イメージが定着して久しい感があるが、この家系のラーメンにはひとつの定まったスタイルがある。

・オヤジが横柄
・下働きが金のネックレスとか好んでするDQNセンス

とかはまあ店によるのでいいとして

1.濃厚トンコツスープ
2.大量に浮かせた鶏油
3.ゴツイ太縮れ麺
4.具はほうれん草、海苔3枚、チャーシュー1枚
5.ラーメンの味は醤油のみ
6.メニューはラーメンとチャーシューメンのみ
7.トッピングとして海苔増し、味付け玉子

というのが多くの家系ラーメン屋で一般的に採られている形である。

1のスープについての補足であるが、一般的なトンコツスープ店(九州系を除く)は骨の脂と関節部のゼラチンが
乳化した白湯(パイタン)という状態を仕上げとする場合が多いが(この手の店は臭い消しの野菜を多めに使う事が多いため、
あまりトンコツ臭は感じられずあっさりとしながらもコクのあるスープとなる)、家系はさらに煮込んで髄を出す。
しかも、前述のような店に比べ同じ量のスープに使う骨の量が数倍違うため、より濃厚なスープになる。

で、この壱八家であるのだが、とりあえずラーメン650円を注文しましょうか。
入口に食券販売機があるので忘れずに買いましょう。
店内は木目調で整えられ、流行歌が流れてたりする小綺麗な作りです。

さて、この店は上記基本スタイルにかなりの追加要素を加えた意欲的な店ですな。
スープは九州のラーメン屋の様に、木製のオール(ボート漕ぐときに使うアレだ)の様な物で
寸胴の中のトンコツをかき混ぜ、砕き、骨の旨味を残さず抽出している。
麺は一般的な酒井製麺ではなく、長多屋製麺を使用。
そして、海苔、ニラ、バター、ワカメ、うずらの卵、コーンなどというトッピングの数々。

さてさて、珍しくアカデミックなハナシしてたらお腹空きましたよ、出てきたラーメンを食べましょう。
トッピングはウズラの卵がひとつ、海苔が3枚、ほうれん草にチャーシューが一枚。
麺はごつっとした歯ごたえを失わず、それでいて表面は実に滑らかな舌触り。
スープは家系にしては塩気が薄く、鶏油の風味と髄のコクが醤油と絶妙な絡みを見せて麺を支えます。
そして、骨を砕いて煮込んでいるだけのことはあり、丼の底には骨粉が溜まっています。
でも、脂ではなく骨による濃厚な旨味はこってりとしながらもさっぱり、舌に全然べとつかない。
海苔も簡単にスープに溶けてしまうような軟弱な物ではなく、キュッとした歯ごたえと香りを失わない。
こういう、シンプルに旨味で勝負するラーメンは、材料や具の質を落として旨味を薄めては台無しになってしまう。
接客といい、ラーメンの味といい、色々と家系とは思えない(言い過ぎです)すばらしさなんですが
家系の未来形を見た! とか宣言しちゃってもいいのかな?
ま、ハナシの種に一度は行ってみるといいんでは。



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