味のこまつや(宮城県宮城郡利府町・JR利府線利府駅)
2011年12月16日(金)
イオンのそば、住宅街の路地に入ったところにある店。
大通りに面して大きな看板を掲げているラーメン屋では無いので、こういう店は観光客や通りすがりの旅人には見つけにくい。
やはり、地元の人間の手引き有ってこそだよなあ。

そんな訳で、利府人のメケットさんお薦めのラーメン屋、2軒目はここ。
どうですかこの店構え。町の中華屋さんって感じだよね。

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カウンター、テーブル席の他、小上がりの座敷まである広い店内。
広いのは客席だけじゃなく、厨房のスペースまでがゆったり、広々としている。
池波正太郎が友人に連れられてどこかの店に入り、店内を見渡すなり、おい、この店はいい(美味い物を喰わせるってのが判る)ぞ、と友人に言い、
喰う前から判るのかと問われて答えた、「客席と厨房の広さが同じだろ。稼ぐこと以上に味を大切にしている証拠だよ」という話が忘れられないオレは、
厨房の広さにもちょこっと眼を配っているのだ、最近。

あと、こういうオープンキッチン(カッコつけて言えばそうだよね)の店で、厨房が汚い店があるが、この店はピッカピカで清潔そのもの。
確かに汚い店でも美味い物を喰わせるところもあることはあるが、命題としては逆は真では無い。汚くて不味いところも沢山あるからね。
でも、店内や厨房が清潔な店で、不味い物を喰わされた覚えが一度も無いから、キレイな店は美味しいってのは言えると思うんだよね。

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壁にずらりと貼られた品書きの短冊を眺めながら、何を喰べようかじっくりと検討するのが楽しいね。
最近の麺処、とか匠麺房、ら〜めん工房○○、なんていうキラキラネーム(だよなコレ)の新進ラーメン屋のメニューってのは、まるでファミレスのメニューのような
小綺麗なラミネート冊子みたいのが多いけど、オレはこういう店が好き。
よし、シンプルな醤油ラーメン520円にして、お腹に余裕がありそうなら、メケさんお薦めの塩ラーメンも行ってみるか。

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醤油の色合いも軽やかな澄んだスープに、きら星のごとく浮かぶ脂の玉。
少し柔らかいゆで加減の中細縮れ麺、なるとにチャーシュー、メンマ、海苔、薬味のネギ。
オーソドックスな外観そのままの、オーソドックスな味わい。
麺を啜り、スープを啜り、具をつまみ、また麺に向かう、という流れの中に、何一つ引っ掛かるところが無い。
喰べる人が力んで、身構えて、立ち向かわなければならないような、そういう強圧的な物をこのラーメンは全く持っていない。
でも美味い。なんだこの、胃袋と心に広がってくる満足感は。たっぷりとした幸せは。

陶酔してたら、入った時にはまばらだった客が、昼時になると続々と詰めかけてきて、客席は満席になった。
そりゃそうだ、この味でこの値段だったら、黙ってたって客は来る。
見れば、外で立って待ってる人もいる。
こりゃ、塩ラーメンは次の機会にしとこうかな。

周りの客は、やはり地元のおばちゃん達とか、作業着姿のおっちゃん達とかで、みんな半チャーハンのセットとか、ライスとかのセットを頼んでいるようだ。
なるほどねえ、そういうのもあるのか! と、次に利府に来たら喰べなくちゃ、な物がまた一つ増えた、そんな旅だった。




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